植村クリニック 治療例集

 心療内科の紹介HPは沢山ありますが、実際にどのような症状の人が受診して、どのような治癒経過をとるのか具体的に記したものは、ほとんどありません。そこで本コーナーでは、当クリニックで取り扱う代表的な病気について、モデル治療例を作成してみました。いずれの症例もこのページ用に新たに創作したもので、実在の方ではありません。
 各症例には院長のコメントをつけました。また各病気の当クリニックでの治療実績も記してみました。当クリニックの受診の希望の有無にかかわらず、皆様の心療内科に対する理解に少しでも役立てば幸いです。

【目次】
1.パニック障害
2.
不眠症
3
.うつ病
4
.躁うつ病
5
.過敏性腸症候群
6
.過換気症候群(過呼吸発作) 
7
.あがり症、書痙対人恐怖症 ・・・・・・あがり症 書痙 対人恐怖症コーナー」 をご覧ください。

【パニック障害】 
治療例@: 30代女性 OL  

病歴: 車を運転中、発作的に気分が悪くなって胸が苦しくなる、動悸がして恐怖感に襲われるとのことで、近所の内科医院受診し、心電図検査等実施するも異常なし。発作を繰り返すためA公立病院心療内科受診し、パニック障害とのことで数種類の薬物投与を受けるも発作は消失せず、当クリニック受診。

治療経過: 当クリニックで薬物調整と簡易精神療法を実施し、発作は消失、1ヶ月で自信回復。勤務も順調。現在少しずつ薬物減量中。

コメント: パニック障害は薬物治療に良く反応します。薬物の投与方法も公式化されています。ほとんどの方がお薬さえ飲んでおれば心配ない状態です。安定した状態の方は1−2ヶ月に1回程度の通院で十分です。

治療例A: 20代女性 主婦

病歴: 2年前から、時々心臓の辺りに不快感が生じ、動悸がして気分が悪くなる。手足も冷たくなり寒気がしてくる。30分位でおさまるが、その間の恐怖感が強い。以上のような発作を繰り返すうちに、電車が怖くて乗れなくなり、外出も心配、といって家で独りになるのも怖い。怖いと思うと本当にどきどきして具合が悪くなることもある。総合病院の内科で検査してもらったが心電図等異常なく、放置して良いといわれた。しかし、病状改善しないため夫に連れられて当クリニック受診。

治療経過: 
パニック障害の診断の下に、薬物療法開始。抗不安薬の投与によりパニック発作は完全に消失。しかしながら、電車恐怖が続くため抗うつ剤を追加。さらに簡易精神療法および生活指導等により電車に挑戦し、無事乗車に成功。以後自信をつけ外出も問題なし。現在は服薬量も減少し、月に1回の通院。

コメント: 
お薬はパニック発作の予防には極めて効果的ですが、行動制限の解除には適切な精神療法や生活指導が必要です。そのためには治療に熟練した医師を選ぶ必要があります。

当クリニックでのパニック障害の治療実績: 極めて良好(ただしある程度長期間の服薬になる)

不眠症
治療例@ 70代女性 主婦

病歴: 
数年前から不眠あり。寝付きは悪くないが2時間位で目が醒める。内科から睡眠導入剤 (triazolam 0.25mg) をもらってたが、段々効かなくなってきた。2T飲んだりしてるが良くないだろうか?との相談で当クリニック受診。

治療経過: triazolam 2錠を一人暮らしのお年寄りが服用するのは問題があると考え即刻中止。夕食後に安定剤を服用した後に、別の安全性の高い睡眠薬1錠を眠前に服用することにより、4時間程度眠れるようになる。しかし、もっと眠りたいとのことで漢方薬を使用し6時間程度熟睡できるようになり満足。

コメント: 睡眠薬については世の中には様々な誤解があります。「癖になるからこわい」「睡眠薬で寝る位なら酒のんで寝た方がまし」などの古典的なものから、「最近の睡眠薬は昔と違って安全」「作用時間の短い睡眠導入剤だから安心」といった現代的なものまで、いずれもそのまま信じたら誤りです。さてこの方のtriazolam(商品名:ハルシオンなど)ですが、翌朝に持ち越さないという僅かな長所以外は問題点が多すぎ、私はほとんど処方しません。睡眠薬の選択は種々の状況を考慮した上で決定されます。その詳細はここには書き切れない程です。睡眠薬を正しく利用するには、心療内科か神経科に相談して頂くのが一番だと思います。

治療例A 50代男性 会社員

病歴: 10年位前から寝付きが悪く4時間位かかる。数年前から内科で色々睡眠薬をもらってるが効かない。たまに早く眠れても2時間位で目が醒めて、その後眠れない。仕事の前に眠れないと不安で勤務にも集中できない。

治療経過: 受診前の経過から睡眠薬1種類では不足なことが予想されたため、依存性の少ない睡眠剤の中から入眠障害用と中途覚醒用の2種類を選択して眠前に同時投与。併せて簡易精神療法と生活指導を実施し、初診当日より熟睡でき勤務も順調。1ヶ月後には入眠用の薬は半分ですむようになる。2年後には両剤とも半分で十分眠れるようになる。

コメント: 当クリニックでは、睡眠薬は先々のことを考慮して、止めやすいものを処方するようにしています。そうすれば長期にわたり睡眠薬を常用されてた方でも、少しずつ減量していくことが可能です。もっとも上記の方の程度の服薬量なら飲み続けても心配ありません。睡眠薬や安定剤は、最初は十分服用して症状を出来るだけ早く取り除き、その後は上手に減らしていくことが肝心です。その減薬のコツを指導できるのが我々専門医であると自負しております。

当クリニックでの不眠症の治療実績: 不眠症を起こす他の原因疾患(他の精神疾患など)がある場合は別として、通常の不眠症ならお薬を強くすれば眠れるようになります。その点では治療実績は極めて良好です。また、最終的にはほとんどの方が服薬中止か安全性の高い睡眠薬の少量で眠れるようになっておりますので、この点でも治療成果は良好と考えております。

うつ病】 
治療例 50代 女性 主婦

病歴: 2月ころからしんどさを感じるようになり、更年期障害との診断でC公立病院産婦人科に1ヶ月間通院するも症状は改善せず、家族に連れられて当クリニック受診。初診時、倦怠感強く、睡眠は浅く、朝方は特に気分もさえず、死んでしまいたいくらい。意欲も食欲も低下。よく話を聞いてみると、10年くらい前から春先にしんどくなることが多かったという。

治療経過: うつ病との診断で、抗うつ剤の中等量投与により2−3週間で症状消失。しかし、2ヶ月後にうつ症状再燃したため、別の抗うつ剤を追加投与し、再び回復。その後は薬物療法と生活指導等でほとんど安定した状態が続いているが、抗うつ剤の減量が過ぎると再発しやすいため、一定量の抗うつ剤の服用を続けながら、いろいろと趣味も楽しめるようになり順調に経過している。2週間毎に通院。

コメント: 初めてうつ病になった方は、ご自分では心の病とは感じていない場合も多く、家族や産業医の先生に勧められて、ようやく当科を受診される場合も珍しくありません。また、中年女性の場合は更年期障害と間違えて受診が遅れることもあります。薬物療法の効果は大きいので早めに受診したいものです。

当クリニックでのうつ病の治療実績: うつ状態から完全に回復する期間は、患者さんにより1-2週間から数ヶ月間と様々ですが、最終的にはほとんど安定した状態に落ち着かれています。薬を止めると再発しやすい方には2週間毎の通院をお勧めしております。

躁うつ病】 
治療例@ 40代 男性 会社員

病歴: 10年前に、躁状態(多弁、誇大妄想など)で精神科に半年間入院したことがある。躁状態が治まると、うつ状態に移行。退院後、服薬せずにいたところ、5年前にも躁状態が再発。半年間休職して精神科病院に通院し回復。4年前から勤務の都合により、夜間診察可能な当クリニックに通院変更。

治療経過: 再発の予防を目的に、以前の病院と同様の気分調整剤を主とした薬物療法を継続。2週間毎に通院し、再発の兆候の見られる時は早めに薬を微調整し、安定した状態を継続している。勤務成績も良好である。

コメント: 躁うつ病の方が本格的な躁状態を発症すると入院治療を要する可能性が高く、以後の生活に与える影響も少なくありません。幸い気分調整剤には強い予防効果がありますので、規則正しく服薬すれば再発の確率もずっと少なくなります。また、再発しかけても早めに薬物調整すれば、仕事を休まずに治せることも多いのです。安定した状態が続いていても、2週間毎に通院して、しっかり診察を受けることが大切です。

治療例A 20代 女性 主婦

病歴:25才頃より半月〜2ヶ月程度の周期で躁うつの波がある。うつの時は気分が暗く家事もする気がなくなり、自殺も考える。うつが終わると躁状態になり気分が明るくなり、夜も寝ないでしゃべり続けたりする。しかし、しばらくすると、またうつ状態に戻る。うつ状態の時に家族に連れられて当クリニック受診。

治療経過: 抗うつ剤と気分調整剤で治療開始。服薬により躁状態を呈することはなくなったが、うつ状態を繰り返すため、毎週通院して頂きながら薬物調整を行い、半年後からはうつ状態の予防にも成功。以後は、2週間毎の通院を続けているが、数年間にわたり安定した状態が続き、服薬量も減少している。

コメント: この方のように1〜2ヶ月程度の短期間で躁うつの波を繰り返す躁うつ病は、急速交代型と呼ばれ、治療がやや難しい面があります。気分調整剤をベースにして、状態により抗うつ剤や鎮静剤を使い分けます。状態がどんどん変わっていくので、それに応じて処方も変えていく必要があります。お薬が決まるまでは毎週通院して頂く方が効果的です。状態が安定した後も2週間毎の通院を勧めております。また、数種類の薬が必要になる場合もあります。医療費がかさみやすいので、ご希望の方には通院医療費公費負担制度の利用をお勧めしております。

当クリニックでの躁うつ病の治療実績:上記の急速交代型を除けば、極めて良好な方がほとんどです。急速交代型の患者さんについても概ね良好な状態です。ただし薬物調整に1年以上かかることも珍しくないので、治療には気長に取り組むことが大切です。
 
過敏性腸症候群 
治療例 10代 女性 短大生  

病歴:高校の頃よりたびたび腹痛発作あり。数回下痢をするとおさまる。外出して腹痛発作が起こるのが不安で外出前は食事はとらない。外食も不安でできない。次第に症状悪化し、自宅にいても激烈な腹痛発作が起こり救急病院を受診したこともある。総合病院の胃腸の精密検査では異常なく、上記診断のもとにA大学病院心療内科通院するも効果なく、B大学病院消化器科からの紹介により当クリニック受診。

治療経過: 薬物療法と精神療法を実施。薬物治療は消化器系薬剤と抗不安薬で開始。過敏性腸症候群としては重症に属するため、抗うつ剤も追加使用。生活指導も実施し、腹痛発作は消失。当初は毎週通院だったのが現在は月1回の通院で十分になり、通学も出来、海外旅行も楽しめるようになった。

コメント: ストレスにより腹痛、下痢(時に便秘も)を繰り返す過敏性腸症候群は、軽症の方は内科で治療されてますが、重症の方では種々の抗不安薬や抗うつ剤を使い分ける必要があります。その場合は心療内科での治療が適当と考えられます。話は変わりますが、心療内科と神経科(精神科)の違いをしばしば尋ねられます。身体症状が主であるこの病気は、心療内科では扱いますが、精神科では扱いません。

当クリニックでの過敏性腸症候群の治療実績: 極めて良好(短期で治療終了か、1〜2ヶ月毎の通院の方が多い)

過換気症候群(過呼吸発作)
治療例 30代 女性 主婦

病歴: 姑との同居生活がうまくいかず、頭痛やめまい等が強まり、2ヶ月前から実家に帰省。一応落ち着いていたが、姑が突然訪問した際に、急に全身の力が抜け、息が荒くなり気絶した。大学病院救急部を緊急受診し血液検査等の結果、過換気症候群と診断され当クリニック受診を勧められる。

治療経過: 抗不安薬の投与により過換気発作はほぼ消失。発作が起こりかけた時には紙袋を口にあてるバッグ呼吸や抗不安薬の頓服で対処して治まっている。

コメント: 過換気発作の治療自体はパニック障害の治療に準じており難しくはありません。ただし、他の身体症状や精神症状を伴う場合は、治療効果は、それらの程度や、さらに環境要因や性格要因にも左右されます。薬物療法以外に精神療法や生活指導も重要になってきます。

当クリニックでの過換気症候群の治療実績:症状が過換気発作だけの方の治療は極めて良好です。ただし、他にも問題を伴う場合、治療効果はそれらの改善状況にも左右されます。

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