あがり症・多汗症・書痙の治療例集
(本郷心療内科院長 植村秀治)
本郷心療内科(東京) には開院以来、北海道から沖縄にいたるまで全国各地から多数の患者さんに御来院頂いております。そこで、このぺージでは、当クリニックの受診を検討されている方々のために、あがり症、書痙、対人恐怖症の治療経過等について、モデル症例により紹介いたします。いずれの症例も本ページ用に新たに創作したもので、実在の方ではありません。植村院長からのコメントや当クリニックでの治療実績も記載いたしましたので、ご参考にして頂ければと存じます。
(本郷心療内科では、現在、植村院長の診察の予約を受け付中です)

なお、
メール特集には、患者様からの便りが直接掲載されていますので、こちらも併せてご覧ください。


あがり症(会議・発表恐怖症)
治療例 50代 男性 大企業重役

病歴: 数年前に転勤があり、歓迎会で挨拶をする際に緊張して声が震え、動悸がして頭の中が真っ白になった。その後役員会や改まった席などで話をしようとすると、同様の状態を繰り返す。次第に日々の緊張が高まり眠りも浅くなり、会議の2−3日前からは胸も苦しく、仕事に行くのもつらい。以上でA病院心療内科受診し、安定剤の投与を受け症状改善。しかし、毎日の薬の量が増え1日10錠近く服薬する日もあり、当クリニックにSecond opinion を求めて受診。

治療経過: 薬剤調整と飲み方の工夫により薬物減量可能と判断。少しずつ減薬しながら、大きな会議用には別メニューの薬を新たに用意し無事乗り切る。薬物療法とともに簡易精神療法も併せて実施し、次第に自信を回復。1年後には全く服薬しない日が半分位になり、通院も6ヶ月に1回程度に減少。

コメント: 
職場や学校での会議や発表が心配という方が、多数、当クリニックを受診されています。このタイプの患者さんには安定剤等のお薬が良く効きます。治療のポイントは、@まず薬で速やかに症状を取り除く、Aついで頃合いを見計らって薬に頼る部分を上手に減らしていく、以上の2点です。ただし、上の例の方のように、適切な指導を受けないと必要以上に安定剤に頼ってしまう場合があります。このような方を薬漬け状態から脱出させるには長期間を要します。熟練した精神科医による治療をお勧めします。

当クリニックでの会議・発表恐怖症の治療実績: ほとんどの方が緊張時のみの服薬で十分効果があり、最終的には服薬不要になる方もあります。通院間隔は3ヶ月〜2年。


【あがり症(面接恐怖症)
治療例 20代女性 大学生
 
病歴: 中学の頃から、皆の前で教科書を読んだり、発表する時、緊張して声がうわずり、本を持つ手が震えたりした。高校も同じ様な状態で苦労したが、大学入学後は特に緊張する場面もなく無事に過ごしていた。ところが、4年生に進級する春より就職活動が始まり、会社説明会に行ったり、入社の面接試験を受けたところ。緊張して声が震え、思うように話せず、口ごもってしまう。あせると余計緊張して顔中汗だくになってしまう。就職活動も失敗続きで、内定をとった友人の話を聞くと、コンプレックスばかり強まり、絶望的な気持ちになり、生きているのもつらい。それでも、気力をふりしぼって就職活動を続けているが、明後日にせまった面接が不安でたまらず、HPで知った当クリニックを遠方より藁にもすがる思いで急遽受診。

治療経過: 日常の生活には特に問題はないため、面接用に特別メニューの安定剤を処方。面接開始時刻に合わせて服用時刻や服用量を慎重に決定、心構えもアドバイスし、面接に臨む。最初の面接で、薬の効果は十分確認できたが、少しあせりがあったため、微調整して、次の本命の会社の面接に挑戦。今回は応答もスムーズにでき大満足。結果は2社とも合格で、一度に目の前が明るくなった。

コメント: 不景気による就職難のせいでしょうか。入社試験の面接が不安という学生さんが増えております。緊張しながらも就職活動は続けているようなら重症とは考えられず、お薬が良く効くはずです。面接時のみ、安定剤等の力を少々借りて、本来の力を存分に発揮して下さい。

当クリニックでの面接恐怖症の治療実績: 極めて良好。面接さえクリアできれば、1−2回の通院で治療終了、という方がほとんどです。


【あがり症(発汗恐怖症、多汗症)
治療例 30代男性 会社員
 
病歴: 営業職として働いているが、取引先での交渉や社内でのプレゼン、上司への報告などで、緊張して顔が熱くなり、汗がでてくる。気にすると更に汗が沢山でてきて、吹き出した汗が頭や顔面からポタポタとしたたり落ちる。ハンカチで汗を拭き拭き話すも、恥ずかしくて話をするどころではなくなってしまう。満員電車で立っている時も、ここで汗がでたらどうしよう、と思うと不安でたまらない。暖房のきつい場所は恐怖で、冬の美容院は特に苦手である。ハンカチは最低2枚は持ち歩いているが、それでもグッショリとぬれてしまう。今度、取引先で新商品の説明会があるとのことで、失敗が許されない、と不安に耐え切れなくなり、当クリニック受診。

治療経過: 普段の日常生活には問題はないため、緊張場面用の頓服として、安定剤や発汗を抑える薬剤を処方。心構え等も指導し、本番に臨む。初回より、薬の効果は抜群で、以後、薬があると思うだけで安心して業務に専念できるようになった。必要時は薬を頓服し、営業成績も社内の上位となった。次第に自信も深まり、薬の使用量も減少しつつある。

コメント: 多汗症、発汗恐怖症は男性に多い症状です。普段から汗かきの人もかなりおられます。痩せ型の人よりも、肥満傾向の人が多い印象があります。薬は顔面や頭頚部からの発汗には奏功することが多いですが、手掌の発汗には効かないようです。薬で発汗を抑えておくと、そのうち薬を飲まなくとも大丈夫になる人もあります。

当クリニックでの多汗症、発汗恐怖症の治療実績: 顔面からの発汗恐怖に関しては、極めて良好。通院間隔は3ヶ月〜1年程度。


対人恐怖症、視線恐怖症】
治療例 20代男性 会社員 

病歴: 職場の窓口業務で応対中緊張する。顔がほてる。動悸がする。声が震える。相手の目を見られない、これ以上仕事を続ける自信がない...などで当クリニック受診。

治療経過: 簡易精神療法と少量の安定剤により、すぐに症状改善。受診毎に不安も減少し、勤務も問題なく続けられるようになる。人付き合いも積極的になり、デートも出来るようになり、2ヶ月で治療終了。

コメント:  対人恐怖症はありふれた病気(病気というほどのものでもありませんが)で、薬物治療に良く反応します。ただし、このタイプの患者さんは医者に相談するのも恥ずかしいし、安定剤を飲むのもプライドが許さないという方が多いのです。心療内科や神経科に行って相談してみよう..と思えるなら、すでに半分治ったようなものです。もっと早く来れば良かったと言って下さる方が多いのも特徴の一つです。

当クリニックでの対人恐怖症の治療実績: 仕事や学校等を休まず続けられる程度の方なら、極めて良好。治療間隔は2ヶ月〜1年程度。半ひきこもり状態の場合は必ずしも容易ではなく、SSRIを使用することもあります。


【書痙
治療例@ 50代 男性 会社員

病歴: 若い頃より人前で字を書くとき緊張して手が震える。改まった席で記帳するのが不安で死ぬほどつらい。次第に症状が進行して、酒をつぐ時も震えるし、人前で箸を使うのも心配になる。翌日、記帳する機会があると思うとそればかり気になり、夜もろくに眠れない。民間心理療法に大金をつぎ込んだが無効。内科で安定剤をもらったが、ほとんど変わらないとのことで、発症20年以上を経て当クリニック受診。

治療経過: 書痙に有効性の高い抗不安薬を少量と、動悸・震え止めを緊張場面で併用したところ、初回から著明改善。友人との食事で初めて箸が使えたと喜ばれる。それまではズプーンで食べる物や串カツで済ませていたらしい。簡易精神療法も併用し、自信は急速に回復。銀行等での書類記入も大丈夫。対人関係も積極的になり行動半径も広がる。ただし結婚式の記帳だけは緊張が強く心配とのことで、別メニューの薬を用意し無事乗り切る。2-3ヶ月毎の通院を繰り返すうちに、次第に服薬不要になり通院は年1回程度に減少。

コメント: 人前で手が震えると独り悩んでおられる方は少なくありません。放置しておくと、この方のように色々な場面で症状が顔を出すようになり、段々社交範囲も狭まり人柄まで暗くなってしまいます。治療は個々の患者さんに合わせた薬のさじ加減と、服薬時間のきめ細かな設定、それに緊張に対する心構え等についての精神療法が必要です。高額な民間療法などにたよる前に、熟練した心療内科や精神科の医師にご相談ください。

治療例A 30代女性 OL


病歴:会社の会議で皆にお茶を出すとき手が震えてうまく配れない。会議のある時は仕事を休んだりしてる。このままでは仕事を続けていく自信がないとのことで当クリニック受診。

治療経過: 会議でお茶を出す時以外は問題ないため、会議の開始に合わせた服薬メニューを作成。会議のある日のみ予定通り服薬し、無事に勤務終了。以後、必要に応じ服薬しながら順調に勤務を続けるうちに、薬は不要になり10ヶ月で治療終了。

コメント: この方のように症状が出現して早期に受診して頂くと、薬の効きも良く治療も簡単なことが多いのです。それに、次第にお薬に頼らなくてもすむようになるはずです。

当クリニックでの書痙の治療実績: 独りの時は大丈夫だが、人前に出ると緊張して手が震えるような場合、薬を飲んでおれば何ともないという方がほとんどです。また、最終的には服薬不要になる方もおられます。通院間隔は1ヶ月〜数ヶ月毎が多い。

注) 独りの時でも手に異常な力が入って、書字困難になるような場合は、別のタイプ(ジストニア型)の書痙が考えられ、上記のような薬物療法の効果が期待できるとは限りません。