音楽家や演奏家のあがり症
当クリニックにはプロ、アマチュアを問わず音楽家の皆様が多数(300人以上)通院されています。そのほとんどの方がコンサート、発表会、ライブ、レッスン等であがってしまい、実力を発揮できないという方です。音大生でテストの時に緊張してしまう、という方もおられます。
楽器の種類は多岐にわたります。ピアノやキーボード等の鍵盤楽器の演奏で手が震えるという方は大勢おられます。管楽器の患者さんも珍しくありません。フルートでは手や口唇が震える方がおられます。和笛の方もおられます。クラリネットの方も見えてます。トランペットも緊張すると吹きにくいようで、数人の方が通院されています。弦楽器はバイオリン、ビオラ、チェロ等の方で、主に弓をもつ右手が震えるという方が多いようです。ギターやハープを習っている方もおられます。大正琴の発表会が不安というお年寄りもおられます。最近増えているのは、沖縄の三線(さんしん)を習っている方です。
オーケストラ等の合奏会で、自分の楽器のソロの部分があると困る、という方も多く見られます。
いずれの楽器においても、当方の薬物療法が奏功しております。薬(βブロッカー、抗不安薬)は演奏時の頓服で十分です。βブロッカー単独で十分な方もいれば、抗不安薬を併用したほうが腕の動きがしなやかになってよい、と感じられる方もおられます。
薬を使用することより演奏者の方の音楽的感性に影響しないかという疑問がありましたが、複数のプロの音楽家の方から、「そのような心配はまったくない。ビデオでチェックしても普段より良い音がでている。同様の悩みの患者さんに、自信をもってお勧めします」との感想を頂いております。
楽器ではなくて、プロの歌手の方も何人か見えておられます。歌手の方にも当方の薬を処方し、大変喜ばれております。歌手の方の場合は、服薬期間が短くてすむ傾向があります。
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